1.夏侯令女のエピソード
■ 1.夏侯令女のエピソード
1.夏侯令女のエピソード
三国志の感動的なエピソードのひとつが夏侯令女という女性のエピソードです。夏侯令女は、曹爽の従弟である曹文叔と結婚した女性です。しかし、曹文叔は早くに亡くなってしまいます。若くして未亡人になってしまった夏侯令女には、再婚の話が持ち上がります。しかし、夏侯令女は再婚の話を拒絶し、髪を切り下ろして両耳まで切り落としてしまったのです。
それでも夏侯令女の父は、再婚させようとします。今度は再婚に同意するような素振りを見せるのですが、周囲の人が警戒を緩めると鼻をそぎ落としてしまったのです。こうして、亡くなった夫への貞節を最後まで守り通したのです。
夏侯令女の亡き夫への貞節を守るエピソードは、まさに感動的と言えるでしょう。ちなみに、このエピソードから夏侯令女は列女と呼ばれるようになります。また、夏侯令女のこの振る舞いを知った司馬懿は感動し、夏侯令女に養子を取らせて曹氏を継がせることを認めています。これにより、さらに夏侯令女のエピソードは多くの方に知られるようになったのです。
2.典韋の最期のエピソード
■ 2.典韋の最期のエピソード
2.典韋の最期のエピソード
三国志の感動エピソードと言えば、典韋の最期も挙げられます。典韋は、曹操に仕えた武将です。曹操への忠誠心が抜群であり、典韋の最期である感動的なエピソードも、曹操への忠誠心によるエピソードと言えます。
曹操は荊州の張繍を征服し、降伏させます。しかし、張繍は謀反を起こすのです。そこで典韋は、曹操を逃がすために体を張ります。典韋が守っていた門には、敵は浸入することができず、敵は他の門から侵入していきます。そして、典韋は多数の敵に囲まれ、典韋は最期を遂げるのです。最期は敵に突進し、敵2人を両脇に挟んで撃殺したと言われています。
典韋の最期は、曹操を守るための命を落としたのです。典韋の曹操への忠誠心がよくわかり、感動的なエピソードです。ちなみに、曹操も典韋の死を知り、とても悲しんだとされています。典韋の遺体を奪還させて、告別式を開いています。しかも、典韋が戦死した場所を通る度に、曹操は典韋を弔ったとされているのです。
3.関羽千里行のエピソード
■ 3.関羽千里行のエピソード
3.関羽千里行のエピソード
主従関係で感動的なエピソードと言えば、関羽の千里行も忘れてはいけません。関羽は、200年に曹操に生け捕りにされてしまいます。曹操は、関羽の実力を認めており、配下にしたいと思い厚遇するのです。関羽は義理堅い人物であり、厚遇に恩義を覚え、曹操に協力して武功を立ててから劉備(玄徳)のもとに帰ろうと思うようになります。
関羽は実際に、官渡の戦いで武功を挙げたため、曹操のもとを去って劉備(玄徳)のもとに帰ろうとします。曹操の部下たちは、関羽に対して追っ手を差し向けようとするのですが、曹操はそれを止めました。とは言え、関羽が劉備(玄徳)のもとに帰るとなると、魏の関所を通り抜ける必要があります。関羽は、「東嶺関」「洛陽」「沂水関」「滎陽」「黄河」という5つの関所を通り、名のある武将を切り捨てていったのです。最後は、夏候惇が関羽と刃を交えるのですが、そこへ張遼が駆けつけ、曹操の伝言によって戦いは中止になります。そして、関羽は劉備(玄徳)のもとに無事に帰った、というエピソードのことを関羽の千里行と言うのです。
魏の勢力下から劉備(玄徳)のもとに帰るのは、とてつもなく大変なことです。それだけ、関羽は劉備(玄徳)のもとに馳せ参じたかったのでしょう。関羽の千里行は、関羽と劉備(玄徳)の関係がよくわかり、感動的なエピソードとなっているのです。
4.見捨てない華歆
■ 4.見捨てない華歆
4.見捨てない華歆
華歆にも、優しさがわかる感動的なエピソードがあります。華歆は、三国志時代の政治家であり、孫策・孫権に仕えたのちに、曹操や曹丕など魏にも仕えた人物です。華歆は、簡潔・公正な政治を信条としています。孫権に仕えている時に、曹操から招聘されます。華歆は自分を派遣することで、曹操と友好的な誼を交わすように進言し、曹操のもとにいくのです。出発の際には、多くの賓客が見送りにきて、餞別も渡していきます。華歆は餞別に印を付けておき、いざ出発する時になると、餞別を賓客に返しており、とても義理堅い人物であることがわかります。
そんな華歆の感動的なエピソードは、逃走中の出来事のことです。華歆は数人の知人と逃走しているときに、ある人物に出会います。その人物は同行したいと申し出るのですが、華歆は反対します。しかし、知人らは賛成し、結局同行することになったのです。だが、その人物は途中で井戸に落ちてしまいます。知人らは見捨てようとするのですが、華歆は一緒に行くと決めたのだからと、その人物を助けて、結局最後まで一緒に逃げたのです。
華歆の優しさがよくわかるエピソードとなっています。一度反対した理由も、他人を巻き込みたくないという思いだったのでしょう。華歆が曹操らに重用されたのも、このように素晴らしい人物だったからでしょう。
5.曹操と農産物
■ 5.曹操と農産物
5.曹操と農産物
三国志で魏の基礎を作った曹操にも、感動的なエピソードがあります。曹操は、軍規をとても重んじていました。そして、軍規として「農作物を踏みつけるのは斬首する」という規律を作ったのです。そのため、部下や兵士は馬を降りて、農作物を踏まないように気を付けながら進軍します。
しかし、進軍中に曹操の馬が急に暴走してしまい、農産物を踏みつけてしまいます。曹操は自分に罰を下すように命令をするのですが、側近らは罰を下すことなどできません。そこで曹操は自ら髪を切り落とし、部下の前に跪いて「これで許してくれ」と言ったのです。この姿に、部下や兵士らは感動したのです。
自分を特別視せず、しっかりと自らに罰を与える曹操の姿は感動することができます。曹操と言えば、悪役的なイメージがありますが、感動的なエピソードもあるのです。
6.まとめ
■ 6.まとめ
6.まとめ
今回は、三国志の中でも感動的なエピソードについて紹介してきました。三国志と言えば、権謀術数や戦闘ばかりが注目されがちです。しかし、実は感動的なエピソードも数多くあります。人の温かみや主従の繋がり・絆などを感じることができます。感動的なエピソードから、三国志の登場人物の意外な一面がわかったりすることもあります。そのため、ぜひ三国志の人情話や感動的なエピソードにも注目してみてください。もしかしたら、感動して泣いてしまいかもしれません。