三国志・南蛮で最強は誰なのか!?トップ5を決定

三国志・南蛮で最強は誰なのか!?トップ5を決定

三国志の英雄・諸葛亮が颯爽と活躍するのが蜀の南征です。孟獲を筆頭として個性豊かな南蛮の武将が現れ、蜀軍を苦しめますが、諸葛亮の智謀によって敗北していきます。今回はそんな南蛮武将の中で最強は誰なのか選んでいきましょう。


蜀の北伐への準備

蜀の北伐への準備

蜀の北伐への準備

劉備(玄徳)の死後、228年になって蜀はついに魏を倒すべく北伐を開始します。その準備のために、丞相であり、北伐の総司令官である諸葛亮は前年から漢中に滞在していました。諸葛亮は北伐を成功させるために他にもあらゆる手を打っています。一時は敵対関係になっていた呉との国交を復活させ、再び同盟を結びました(呉の正式な建国は229年になりますが)。

さらに懸念していた蜀の南にも対応しています。それが225年に行われた南征です。「三国志正史」では、蜀は諸葛亮、李恢、馬忠の三軍に分けて建寧や雲南、越雋などを攻略しています。現在でもこの地方は少数民族が住んでいる場所です。蜀は北伐のために全軍を投入するぐらいの覚悟でしたから、南を制圧しても、平定維持のために軍勢は割けませんでした。だからこそ諸葛亮は武力による制圧ではなく、異民族を慰撫し、蜀に従うように対処する必要があったのです。

これが「三国志演義」で有名な「七緃七擒」のエピソードにつながっていきます。南蛮の首領である孟獲を七たび逃して七たび擒(とりこ)にするというものです。三国志正史には詳細が記載されていないため、この部分の話はもっぱら三国志演義に記されている内容だけが伝わっています。

三国志演義に登場する南蛮の個性豊かな武将たち

三国志演義に登場する南蛮の個性豊かな武将たち

三国志演義に登場する南蛮の個性豊かな武将たち

もともと三国志に登場するメインキャラですら特徴ある描写をしている三国志演義ですから、話を盛り上げるために南蛮武将たちをさらに個性的なキャラとして登場させています。フィクションというよりも、ファンタジーに近い雰囲気です。ここだけは三国志というよりも、まるで妖怪を退治する西遊記のようです。

今回はそんな南蛮の個性豊かな武将の中から「最強トップ5」を選びたいと思います。人望では孟獲がトップなのかもしれませんが、戦闘力という物差しで量ったらどうなるのでしょうか。皆さんもぜひ想像してみてください。

第5位 楊鋒(ようほう)

第5位 楊鋒(ようほう)

第5位 楊鋒(ようほう)

孟獲もかなり精強なのでしょうが、何せ捕縛されている回数があまりに多いためにランク外としております。ということで第5位は、銀冶洞二十一の洞主「楊鋒」です。実際に戦うとどのくらいの強さなのかは不明なところがありますが、3万の兵を連れて孟獲の援軍として駆けつけた際には、その大喝によって、孟獲・孟優・朶思大王を捕らえました。実は楊鋒はすでに諸葛亮に内通していたのです。捕らえた三人を蜀に引き渡すと褒美を得て姿を消します。酒宴で油断させていたとはいえ、敵の本陣でその総大将を捕らえるというのはそう簡単にできることでもありません。揚鋒は智謀だけでなく、武勇にも優れていたのではないでしょうか。

第4位 兀突骨(ごつとつこつ)

第4位 兀突骨(ごつとつこつ)

第4位 兀突骨(ごつとつこつ)

孟獲が頼った最後の相手であり、南蛮の秘密兵器ともいえるのが、「烏戈国」です。現在もベトナム北部に住んでいる烏滸族がモデルになっているようです。三国志演義ではかなり脚色されており、烏戈国人は生きた蛇や獣を食し、通常の人が飲むと死ぬような「桃の葉の散った後の水」も勢力増強として愛用しています。刀や矢を通さず、河にも沈まない鎧をまとっており、「藤甲軍」と呼ばれています。まさに超人軍団です。

その国王が、今回の南蛮武将ランキング第4位となる「兀突骨」なのです。藤甲軍の強さは蜀軍を苦しませ、猛将である魏延を破ります。最期は諸葛亮の計略にかかり3万の兵は国王の兀突骨とともに焼き殺されることになりますが、その健闘ぶりは立派です。そんな中でも身長が1丈2尺(およそ270cm)の超巨漢である兀突骨は突出した強さを誇っています。ちょっとでかすぎですね。

第3位 鄂煥(がくかん)

第3位 鄂煥(がくかん)

第3位 鄂煥(がくかん)

越雋に住むタイ系南蛮族の王の高定が登場しますが、その配下にも精強な武将がいます。身長が9尺(およそ2m)の偉丈夫で、方天戟の使い手、「鄂煥」です。魏延と引き分け、その後は魏延・王平・張翼の三人がかりを相手にして捕らえられました。諸葛亮に降った鄂煥はその武勇で、高定と共に反乱を起こした反乱軍の総大将である永昌郡太守の雍闓を討ち取っています。それでも諸葛亮の信を得られなかったために、次に牂牁郡太守の朱褒を討ちます。

こうして帰順が認められ、鄂煥は蜀の牙門将に任じられています。孟獲と共に北伐の際に活躍してほしい逸材ですが、その後はまったく登場のシーンがありません。

第2位 祝融夫人(しゅくゆうふじん)

第2位 祝融夫人(しゅくゆうふじん)

第2位 祝融夫人(しゅくゆうふじん)

強さでいったらこの武将は確実に名前があがるでしょう。伝説の火神・祝融の末裔とされ、南蛮の王である孟獲の妻である「祝融夫人」です。飛刀の使い手で、5本の飛刀と投げ槍を駆使して蜀軍を苦しめます。一騎打ちでは蜀の武将として有名な張嶷、馬忠を破り、捕縛するほどの強さです。もちろん三国志演義に登場する架空人物であり、張嶷や馬忠が女性に負けたという記録は三国志正史には記載されていません。

第1位 木鹿大王(ぼくろくだいおう)

第1位 木鹿大王(ぼくろくだいおう)

第1位 木鹿大王(ぼくろくだいおう)

それでは栄えある南蛮武将最強を発表いたします。これはもはやダントツでしょう。八納洞の元帥で、白象にまたがり孟獲の援軍に駆けつけた「木鹿大王」です。象に乗っている時点でかなりの破壊力ですが、木鹿大王は法術で風雲を呼ぶことができ、さらに毒蛇やサソリ、虎などの獣をコントロールすることも可能です。これには当時の蜀の最強ランクに位置する武将である趙雲や魏延も敵わずに大敗しています。仮にも趙雲を破ったという記録を持っているのが木鹿大王なのです。もはや蜀軍で対抗できる武将はいませんが、ここで諸葛亮の智謀と法術が冴え渡ります。火を噴く木彫りの唐獅子を乗せた乗り物100台と、風向きを変える法術によって木鹿大王の軍を破るのです。追撃を受けて木鹿大王は戦死しています。

まとめ

まとめ

まとめ

さて改めて順位を発表しましょう。5位・楊鋒、4位・兀突骨、3位・鄂煥、2位・祝融夫人、1位・木鹿大王ということになりました。皆さんの予想はいかがだったでしょうか?

それにしても木鹿大王を殺してしまったのは惜しいですね。彼がいたら北伐の戦い方も変わっていたことでしょう。もしかしたら木鹿大王の軍だけで長安まで陥落させられたかもしれません。そのあたりのパワーバランスがおかしくなってしまうので、三国志演義では抹殺せざるをえなくなってしまったのかもしれませんね。





この記事の三国志ライター

関連するキーワード


演義 諸葛亮

関連する投稿


三国志 外伝 絶世の美女 貂蝉(ちょうせん)

皆さんは貂蝉(ちょうせん)という女性をご存知でしょうか。三国志 演義にその名をとどめる傾城の美女・貂蝉(ちょうせん)のはかなくも美しい生き様をご紹介します。


素朴な疑問。どうして『三国志演義』は蜀びいきなの?

近年では魏の曹操孟徳をクローズアップした漫画や映画作品なども少なからず発表されて人気を博していますが、一昔前までの三国志に関する作品は、蜀の劉備(玄徳)や諸葛亮孔明を主人公に据えたものばかりでした。それは元となる『三国志演義』が蜀びいきであるからでしょう。そもそもなぜ蜀びいきなのか、調べてみました。


京劇でも演じられている三国志演義

「三国志」は現地の中国人たちにとっても人気の物語です。古代より本や語り、影芝居、演劇などの娯楽を通じて大衆からも長く愛され続けています。中国にも歌舞伎のような伝統芸能として「京劇」がありますが、三国志は京劇でも演じられています。


史学と文学。ふたつの三国志を知ろう!

歴史とはどのように解釈すべきなのか。史実か文学か。この問題は三国志にも当てはまるもので、史学的な見地と文学の三国志はやはりどこか似て非なるものとなっているのです。


怪奇現象?! 三国志のコワーイおはなし

三国志演義にはさまざまな怪奇現象、怪談話が登場します。オカルトファン必見の三国志にまつわる怖い話をこちらの記事でご紹介します。


最新の投稿


春秋戦国時代 伍子胥の人生について

伍子胥(ごししょ)は、中国の春秋時代に活躍した楚の武人です。彼の本名は員(うん)で、楚の平王によって父と兄が殺されたため、復讐を誓いました。彼は呉に亡命し、楚との戦いで、ついに復讐を果たしました。しかし、後に呉王夫差が越王勾践を破った際、降伏を許そうとする夫差に反対し、意見が受け入れられず、自害させられました。


孫氏の兵法の孫武(そんぶ)とは?

『孫氏の兵法』における「孫氏」とは、古代中国の軍事思想家である孫武です。兵法書『孫子』を著し、戦争や軍事戦略に関する理論を全13篇から構成。特に「百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」が有名で、戦争を避けることが最も優れた戦略であると説いています。 参考:ドラマ 孫子兵法 ‧


『キングダム』における羌瘣とは?

羌瘣は、漫画『キングダム』に登場する架空のキャラクターです。彼女は羌族出身の少女で、精鋭の暗殺者集団「蚩尤(しゆう)」に属していました。彼女は、原作、映画においても非常に魅力的なキャラクターです。その環境や周辺を史実を参考に紐解いてみます。


赤兎馬とは? 三国志初心者必見 三国志における名馬の物語

赤兎馬とは、三国志演義などの創作に登場する伝説の名馬で、実際の存在については確証がなく、アハルテケ種がモデルとされています。体が大きく、董卓、関羽、呂布など、三国時代の最強の武将を乗せて戦場を駆け抜けました。


春秋戦国時代 年表 キングダム 秦の始皇帝の時代の始まり

キングダム 大将軍の帰還 始まりますね。楽しみにしていました。 今回は、秦の始皇帝「嬴政」が、中華統一を果たす流れについて記述しようと思います。映画、キングダムのキャストの性格とは若干違うかもしれませんが、参考程度に読んでみてください。


アクセスランキング


>>総合人気ランキング