曹操の覇道
■ 曹操の覇道
曹操の覇道
では『SWEET三国志』2巻をご紹介していきましょう。2巻は、曹操が張繍に敗れるくだりから赤壁の直前まで。すなわち、史実でいう197年から208年までが描かれます。
張繍攻めに向かう前、曹操が間違って領民の田を荒らしてしまい、「軍律違反だから自害する」と言い出して家臣たちに止められる有名なシーンの後、突然、曹操の前に諸葛亮が現れます。ちなみに、この作品では初登場で、詳しくは後述しますがこのシーンにおいてのみ諸葛亮の「素顔」が描かれます。なお、このシーンに諸葛亮が登場するというのは『三国志演義』にもないオリジナルの展開です。
諸葛亮は曹操に警告を発します。今曹操が練っている軍略は上策ではあるが、敵に見抜かれていればどうなるか分からない、と。言うだけ言うと、風のように姿をくらまします。そして実際、その予言通り、曹操は張繍の、というかその軍師である賈詡の罠にはまり、生涯でも三指に入るような大敗を喫するわけです。
この辺はだいたい原作通りであり、賈詡が西武ライオンズのユニフォームを着た姿で描かれていることくらいしかギャグ要素はありません。ちなみに何故西武かというと、当時、西武に郭(泰源)という有名なピッチャーがいたからです。完全に余談ですが今の西武にも郭(俊麟)という選手がいますが別に関係はありません。
呂布の最期
■ 呂布の最期
呂布の最期
敗戦にもめげない曹操、次は呂布との決戦です。劉備(玄徳)も、どちらにも与さないというか、どちらとも敵対している立場で登場し、三兄弟で呂布を攻撃したりします。
呂布が曹操軍の水攻めを受けるのは原作通りですが、呂布はそれでも平気な顔をしています。ところが、この漫画の呂布には無茶苦茶な弱点があります。フランケンシュタインのような外見なので頭にネジが刺さっているのですが、それを引き抜かれると風船のように空気が抜けてしまうのです。
読んでるこっちの気が抜けるような落ちですが、とにかくそれで呂布は無力化され、最後は関羽の手で首を落とされます。
決戦・官渡
■ 決戦・官渡
決戦・官渡
呂布を討った曹操、次なる敵は袁術、なのですがあっけなく死にます。最期の言葉は「エビアンくんできて」でした。
次行きましょう。さらに次なる敵は袁紹です。劉備(玄徳)の一行は袁紹側についていますが、諸事情により関羽だけは曹操の軍勢に参加することになります。
主には関羽の活躍にスポットライトが当たり、官渡の戦いそのものは、史実における重要性に比していえばかなり早回しで進みます。だいたい『三国志演義』の通りの展開ですので、簡単に説明しますが、曹操に奇襲で兵糧を焼かれた袁紹は惨敗し、逃走の途中で血を吐いて死にます。
劉備の王道
■ 劉備の王道
劉備の王道
軍師・徐庶登場
■ 軍師・徐庶登場
軍師・徐庶登場
曹操陣営から視点が移り、ここから劉備(玄徳)がクローズアップされてきます。小城・新野に入った劉備(玄徳)の軍勢に、まず趙雲が参加します。丸顔の大男で、かなり性格の悪い関羽や、どうしようもない馬鹿に描かれている張飛に比べればまともな頭を持った常識人です。ただ、その分、今ひとつキャラ立ちはしません。まあ趙雲というのはもともとそういうキャラだとも言えるのですが。
さて、それよりもっと重要なのが、ほとんど三馬鹿トリオだけで回ってきた劉備(玄徳)陣営に、初めて軍師が参加するようになる、ということです。(ちなみにこの漫画には糜竺や孫乾は登場しません)
誰あろう、徐庶です。見た目は普通の外見です。そしてキャラクター性も非常に普通です。普通にまっとうな献策をして、劉備(玄徳)軍に曹操軍を撃退させます。
なお、曹操にも見せ場はあり、負けて帰ってきた部下を相手に「勝敗は兵家の常 気にすんな」と失敗を不問に付す(これも有名な)台詞にぶち抜き1ページが使われています。
伏したる龍・諸葛孔明
■ 伏したる龍・諸葛孔明
伏したる龍・諸葛孔明
おおむね原作通りの展開で、徐庶は母親を人質に取られ、心ならずも曹操の陣営に下り、そして去り際に、「自分より有能だから」と言って劉備(玄徳)たちに諸葛亮の住まいを教えていきます。
で、三顧の礼です。ちゃんとやります。三回行きます。ところが三回目、三回ともついてきてはいた張飛がついに切れ、諸葛亮の顔に落書きをし、髪型をめちゃくちゃにし、そして鼻に……なんていうんでしょう。息を吹き込むとプーってなる紙のおもちゃがあるんですが、それを突っ込みます。
諸葛亮はその姿で仲間になり、天下三分の計を献策します。次のシーンでは髪型は治ってるんですが、顔の落書きとアイシャドウと鼻のプーはそのままです。なんでも、鼻のプーは本人が気に入ってしまい、そして顔についてはツッコミ待ちだったらしいのですが、ついにその死に至るまで誰にも突っ込んでもらえず、彼は残りの半生をこの姿で過ごします。
逃げろや逃げろ
■ 逃げろや逃げろ
逃げろや逃げろ
諸葛亮ですが、キャラクター性そのものはごくまともです。たまにギャグは言いますが、この作品の登場人物は全員そうなのでそれは問題ではありません。言うことはまったく常識的かつ冷徹で、劉備(玄徳)が劉表からの国譲りの話を断ってきたときは普通に呆れています。「これでは取れる天下も取れない」みたいなことを率直に、ずばっと言います。鼻をプーとさせながら。
そして、曹操が攻めてきて、一大撤退戦が始まります。劉備が命からがら逃げ延びて、張飛がたった一人で曹操軍の前に立ちはだかり、この辺は『三国志演義』の通りです。
孫権の虎道
■ 孫権の虎道
孫権の虎道
さて、赤壁の戦いが近付いています。というわけで、次にスポットが当たるのは呉の孫権です。呉の人々は、全員関西弁にされています。ちなみに魯粛は関西弁を喋る半魚人です。なぜ半魚人なのかは分かりませんが。
孫権は、曹操に降伏して中華料理屋のオヤジにでもなろうか、二階は雀荘にしよう、などとも思いつつ、心情としては主戦派です。立場上当然ながら呉と魏の衝突を望んでいる諸葛亮を客人に迎え、呉の諸将の前で演説をさせます。
なかなか見事な大演説なのですが、だいたい『三国志演義』の通りの内容を普通に言うだけですので、話を進めます。結局、孫権の意志のもと、呉は曹操軍を迎え撃つ決意を固めます。
イケメン関西弁軍師・周瑜
■ イケメン関西弁軍師・周瑜
イケメン関西弁軍師・周瑜
さて、肝心のキャラがまだ出てませんでしたが、ようやく登場します。呉屈指の切れ者、周瑜公瑾です。他の呉の人々のように関西弁を喋ります。顔はイケメンに描かれてるんですが、かなりドスが利いている感じです。
周瑜は策を練り、曹操を翻弄します。それは狙い通りに成功するのですが、その策の内容を孔明がお見通しだった、という事実を魯粛に聞かされ、周瑜は色をなします。そして、恐ろしい笑みを浮かべながら、こう言います。「奴は将来呉のためにならん 殺さなあかんなァ」。
『SWEET三国志』、2巻はここまでです。では、次は最終巻となる3巻のご紹介となります。