パリピ孔明 勉強になるドラマ2話、無中生有(むちゅうしょうゆう)

パリピ孔明 勉強になるドラマ2話、無中生有(むちゅうしょうゆう)

孔明は、歌手を目指す英子のためにアートフェスでのライブをブッキングするが、英子のブースは一番端で、向かいは人気インディーズバンド「JET JACKET」のブースだった。
英子はブースに人が集まるのか不安になるが、孔明は「この戦、勝てますよ」と意味ありげにほほ笑んだ!さて、軍師 孔明の策は!?


三国志好きには、たまらない パリピ孔明 2話を見ました。
またまた、孔明の軍師としての活躍が三国志エピソードをからめて描かれ楽しかったです。

丁原アパート

丁原アパート

丁原アパート

第2話は、孔明の住まい探しから始まりました。
三国志時代からタイムスリップした諸葛亮 孔明は、もちろん住むところがありません。
不動産屋で、アパートを探していると「丁原アパート」を勧められました。その時の孔明の顔色が曇り、「その物件だけは、お断りしたい。」ときっぱり言い放ったのです。

その理由が、丁原が、三国志最強の呼び声も高い、呂布 に裏切られて殺されたからでした。
これ、三国志を知らないと、何を言ってるか全くわからないですよね?

裏切りの将(呂布・魏延・蔡瑁)

https://sangokushirs.com/articles/672

三国志演義では裏切り者という印象の強い、呂布・魏延・蔡瑁。彼らは本当に恩知らずの裏切り者だったのでしょうか?それともそう描かれているだけなのでしょうか?もし、そうなら理由はあるのでしょうか?

呂布の強さ

https://sangokushirs.com/articles/746

三国時代の中国(220-280年)、呂布(Lu Bu、呂布奉先)は、抜群の強さ誇った武将です。その武勇は当時の他の武将たちからも一目置かれるほどで、剣術、槍術、弓術など多くの武術に優れ、戦場での一騎当千の活躍が度々伝えられています。そんな、呂布の強さについて紹介します。

アートフェス

アートフェス

アートフェス

英子がSNSでフォロワーが増えたと喜んでいると、孔明は言いました。
「大望を抱くものが小事に浮かれていることが悲しいです。あなたの歌を待っている人がいることを忘れないでください。」

続けて、アートフェスの出演を決めてきたと孔明。しかし、英子のブースは一番端で、向かいは人気インディーズバンド「JET JACKET」のブースでした。
英子は心配するが、孔明には、もちろん策があったのです。

秘策の1つ、セットリストを有名カバー曲に・・・

それ以外は、教えてくれません。

孔明「秘策は胸中に秘すればこそ、必殺の策になるかと」
オーナー「お前は孫策かーー!」
孔明「フフフ、玉璽 など隠し持ってはいませんよ」
オーナー「どこの井戸から拾ってきたーー!」

ここの話は、一番重要な者を隠し持っていた者が孫策で、そのエピソードからくる話です。

玉璽(ぎょくじ)は、古代国家の皇帝専用の印鑑のことで、国書への印判を成すために用いられるため、国家の意思決定を可能とした権力に値しました。
孫策の父、孫堅が洛陽の古井戸で見つけ、それを子の孫策が父の形見として大事に持っていたのです。
孫堅が亡くなり、袁術の指揮下に入った孫策は孫堅が所有していた兵を全て奪われてしまいますが、孫策は玉璽と引き換えに、袁術軍に組み込まれていた父・孫堅の軍の一部を取り戻すことができました。
その後、袁術から独立して、江東全域に勢力を拡大しました。
孫策は若くして亡くなりますが、後に三国時代を担う弟・孫権に引き継がれていきます。

彼を知り己を知れば百戦殆からず

彼を知り己を知れば百戦殆からず

彼を知り己を知れば百戦殆からず

アートフェスで英子のブースに人を集める策を検討する上で、孔明は、不思議な行動をとっています。

敵(ライバル)を知るために、ギターボーカル・RYOを尾行して、耳鼻咽喉科に通っていたことを突き止める。

英子とのメッセンジャーのやりとりで、英子の興味・趣向を聞いておく。
「犬派?猫派?」猫「朝食はパン派?ご飯派?」パン「家のエアコンの設定温度は?」25℃が英子の好みなんだそうだ。

そして、孔明がこもっている倉庫のドアを開けると、ものすごい匂いがしてきました。

オーナーは、「毒水の再現か?」と言い、英子は驚いてしまう。

オーナーが、
「まさか、禿竜洞(とくりょうどう)に向かった、蜀軍がやられた、毒水の再現か!」と言った内容を解説しましょう。

禿竜洞の四つの毒泉

禿竜洞の四つの毒泉

禿竜洞の四つの毒泉

禿竜洞の四つの毒泉は、飲むと物が言えなくなり10日以内に死といわれ、浸かると体がただれ骨が出て死に、被ると手足が黒くなり死に、飲むと喉が冷たくなり身体が柔らかくなり死ぬという恐ろしい毒泉が四つも並んでいます。

孔明たちが行軍したのは暑い最中で、水を飲んでしまう兵士が出てきます。しかし、山の神の助けで、解毒の泉にたどり着くことができます。そして、天に祈って湧いた水を得ることができたので、結果、勝利することが出来ました。

朶思大王(だし だいおう)は、架空の人物になるのですが、住んでいる洞窟の名前が「禿竜洞(とくりょうどう)」といい、蜀軍の孔明に連敗していた南蛮王孟獲が救援を求めた人物です。

朶思大王は、禿竜洞への道の四ヶ所に配置された毒の泉が蜀軍の進路を阻み、蜀軍を苦しめましたが、諸葛亮 孔明は、孟獲に勝ち続けました。

JET JACKETに毒水を飲ませるということは、しないと思うのですが、そのような雰囲気にも見えるシーンです。

無中生有(むちゅうしょうゆう)

無中生有(むちゅうしょうゆう)

無中生有(むちゅうしょうゆう)

アートフェス当日、JET JACKETのギターボーカル・RYOは、感慨にふけっていた。
6年前の今日、英子と同じようにアートフェスの一番端のブースから始まった頃を回想していたのです。
今は、メジャーデビュー直前の有名なインディーズバンド「JET JACKET」も6年前、ここから始まったのでした。

その時、英子のブースで機材トラブルがあったことを、JET JACKETに知らせました。
この知らせは、孔明の策だったのですが、現時点では、誰も知らず、JET JACKETは、余裕をかますことになります。

英子は心配でしかない。その時、孔明の一言は、
「(機材が)直ったら歌う。民草の心は動く! 自分を信じる」

民草(たみくさ)とは、人民を草にたとえた語です。
「民草の心は動く」という表現は、状況が動く感じがドキドキするという意味ですね。
孔明の策は、英子の歌で感動を呼ぶことがわかっているからこそ考えられ用いられています。
まだまだ、英子には、自信は持てないようですが・・・徐々に変化の兆しが見えてきました。

さて、JET JACKETのブースは、予定通り大変盛り上がっています。
JET JACKETのブースに人が集まりだしたので、孔明の策が発動です。

彼を知り己を知れば百戦殆からずの項で、英子の興味・趣向を確認したのは、密偵や間者(以降 仲間)に協力を仰ぐためでした。英子のファンになった子なら英子のために動いてくれます。

そして、耳鼻咽喉科に通っていた、ボーカルRYOが、喉が弱いことを突き止めました。
ヒット曲で、喉を酷使する曲、ミッドレイは、次の日のワンマンライブでは、歌わざる負えません。
ですから、きっと、今日のライブでは、歌わないでしょう。

ちょうど、始めから壊れていない機材が直ったことになり、英子は、フェスで盛り上がる曲をガンガン歌いだします。
スピーカーからは、注目を浴びるように爆音を鳴らします。
そして、巨大な照明を下に向けることで地面を高温状態にして、蜃気楼を発生させました。
これにより、隣のブースからは、屋台の客が英子のステージの前にいるように見えたのです。

仕上げに仲間に叫ばせました。「ミッドデイ が聞きたい。」
今日は別の曲を歌います。えー、ミッドデイ聞けないなら 向こうに行こうっと」
結果、筋金入りのファン以外が流れてきました。
そして、英子の歌声が本物であったこそ、留まることになったのです。

「無中生有の計」

「無中生有(むちゅうしょうゆう)」とは、三十六計の第七計で、「無の中から有が生まれる」という意味です。

三国志でも「無中生有(むちゅうしょうゆう)」の考え方に基づく策略や戦術は数多く見られます。

黄巾の乱:都昌(としょう)の城で黄巾族の管亥(かんがい)に包囲された太史慈(たいしじ)が、城門を開け、弓で的を射るという行為を3日繰り返し、敵を「いつもの訓練だ」と安心させ、敵兵が慣れて油断していたところを馬で包囲網を突破し、劉備に援軍を求めました。

赤壁の戦いの火攻め: 三国志時代、孫権と劉備の連合軍と曹操の大軍との間で行われた赤壁の戦いで、孔明は風向きを利用した火攻めの策で、敵艦隊を一気に焼き尽くすことに成功しました。事前に多くの船を連ねて風上から送り込むという、当初は考えられないような策を用いて曹操軍を撃退したのです。

疑兵の計:実際の戦術としても多く用いられますが、故意に兵力を弱く見せかけることで敵を油断させ、それを利用して実際の攻撃を仕掛ける。

草船借箭:孔明は霧の中で敵の曹操軍に向けて草の船を進め、敵の矢を受けて戻り、敵の矢を集める策を実施しました。
これは、敵の資源を利用して自分たちの武器とする「無中生有」の一例と言えるでしょう。

今回は、機材の故障で、JET JACKETを油断(客を取られる心配がない)させた後、爆音で注目を浴び、照明で蜃気楼を発生させ屋台の客を英子のファンのようにみせかけ、ブースの盛り上がりを演出しました。

「無中生有」は、まず敵を欺くために「無」=虚を示してから、「有」=実を用いて攻める戦術です。
「無中生有」の妙は、偽をもって真を乱し、偽中に真があることです。偽は誘惑で、真は基礎です。最初から最後まで偽のみでは空き城の如く、敵の一撃を受けるまでもなく廃嘘となります

もちろん、有の最終兵器は、英子の歌唱力と魅力ということになります。

天の万物は有より生じ、有は無より生ず・・・
は、老子道徳経の一章に出てくる言葉です。
この言葉は、この世の全ては「有」から生じるが、「有」は「無」から生じてくるという意味です。
前話の努力と才能の話と違う観点からつながります。

十五ヶ条ある将帥の心得は、戦の時の心得です。
その1つ”謹”は、謙虚にふるまう です。
英子さんは、謙虚が強すぎると伝え、「私なんかと思うことをやめるべきです」を伝えています。

仲間を頼ってくれ

仲間を頼ってくれ

仲間を頼ってくれ

さて、孔明がこもった倉庫で作っていたのは、毒水ではなく、喉に効くせんじ薬だったのですね。

無中生有に騙された JET JACKET が英子のスタジオに文句を言いにきました。
確かに孔明の策も姑息なので、どういう展開になるかと思いきや、逆に、ボーカルのRYOが喉が弱かったことをメンバーに教えていなかったことで、バンドは、険悪な雰囲気となってしまいます。

これらの状況を「喉の薬」を飲ませたことで、全部解決したということになりました。

古代中国の合戦場を駆け巡る伝令は、声が重要です。その伝令に持たせていた薬は、喉を開く、飲むと、みんないい声になる薬だとか。
薬を飲んだことで、喉もよくなり、JET JACKETも、明日のワンマンライブもメジャーデビューを不安なく出来そうです。

この時、JET JACKETのメンバーが言った「仲間を頼ってくれ」という言葉にかけて、孔明が「戦場で、信じて背中を預けられるのが本当の仲間なのです。」とカッコいい言葉で締めくくると思いきや、「喉の薬をクックパッドにレシピ投稿しておきます。」とかコミカルに締めくくりました。

JET JACKETメンバーも、必死に演奏していた時のことを、6年前のことを思い出しながら感慨に浸り円満に解決しました。

天の万物は有より生じ、有は無より生ず

天の万物は有より生じ、有は無より生ず

天の万物は有より生じ、有は無より生ず

「かくて、曹操軍に追われ、孔明も酒宴に誘われるが、多忙を理由に断ってしまったことがあった。
思えば、あれは最後を覚悟した兵たちのわかれの盃だったのかもしれない。
その後、彼らはみな戦場で命を落としました
なぜ、あの時、私は、1杯だけでも彼らと盃をかわさなかったのでしょう? 」

天の万物は有より生じ、有は無より生ず。これもまた『無中生有』。
人生は一瞬です、我々も楽しみましょう

悔いますよね!? 孔明自身も大業の道半ばでの死、ですから、今を!毎日を後悔のない生き方をしようではありませんか。

さて、あなたの夢は何ですか?
では、答えは出ているはずですね。
次回もよろしくお願いします。





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