三国志。中国の歴史書であり、その史実を基にした小説、演劇、果ては漫画・アニメ、ゲームと幅広く展開され日本でも絶大な人気がありますね。
聞いたことあるけどよくわからない。面白そうだけど難しそう…と、敬遠している方も多いのではないでしょうか。
でも、あまり構えずに興味を持ったポイントから掘り下げてみれば、おのずと世界は広がっていきます。三国志は、地名や人名が覚えづらいというのがビギナーの陥りやすい所ですが、一度観て触れて覚えてしまえば、面白さも相まってスラスラと頭に入ってきます。
小説好きさんは本からでも良いですが、まず映画を一本観て、イメージを膨らませてみるのはどうでしょう?
かく言う私もヴィジュアル面から入るクチです。
最初の段階で好みの俳優さん、声優さん、イラストレーションでインプットするとそのイメージで世界がどんどん広がるので、イメージから入るタイプの人は、観やすい映画から始めるのがおススメです♪その時代の人や生活様式、戦の雰囲気など、音と映像を通して味わえるので世界に入りやすいですよね。
今回はジョン・ウー版三国志「レッドクリフ」をおススメします♪
(ここでは「三国志演義」を基に三国志についてお話を進めます)
ジョン・ウー版三国志「レッドクリフ」でその世界観に触れよう♪
■ ジョン・ウー版三国志「レッドクリフ」でその世界観に触れよう♪
ジョン・ウー版三国志「レッドクリフ」でその世界観に触れよう♪
三国志の映画といえば私は「レッドクリフ」を思い浮かべます。
が、実はこの作品、三国志好きからは賛否が分かれる意見が多かったんですよね。
ジョン・ウー監督によるアクション映画として作成された「レッドクリフ」。
羅漢中の小説「三国志演義」が基とされていますが、架空の人物などオリジナル要素も多く、「これは三国志ではない」という声もありました。
確かに三国志と異なる所も多々ありますが、ジョン・ウー作品ならではの壮大なスケール感、華麗なアクションシーンの連続で見応えがある上に、大衆向け…というと語弊もあるかも知れませんが、わかりやすく観やすくまとめられているので、歴史に苦手意識のある人でもアクション映画として楽しめてしまいます。
アクションに加えてラブロマンス、そして友情を描いた「歴史アクションアドベンチャースペクタクルラブロマンス映画」と言いましょうか…、「何じゃそら」と突っ込まれてしまいそうですが、実際そんな感じなんです…。
そもそもこの映画、一本にまとめるつもりが上映時間5時間を超えて二部作になったそうですが、そらそうなるわってくらい色んな要素がギュウギュウしています。でも音楽も映像も美しく、疲れずに楽しく観られますので、三国志とは別の「ジョン・ウー版三国志」として観れば良いのでしょうね。
「レッドクリフ」のあらまし
■ 「レッドクリフ」のあらまし
「レッドクリフ」のあらまし
そもそも三国志とは、今からおよそ1800年前、中国の漢時代・後漢末期から、続く三国時代にかけての戦国時代100年くらいのお話です。
三国とは魏(ぎ)・呉(ご)・蜀(しょく)の三国のことですが、「赤壁の戦い」は曹操(魏)、孫権(呉王)、劉備(後の蜀の王)の三国の王が一同に戦うという、三国志の中でも最も有名とも言われる重要な戦いですね。
曹操が絶大な権力を握っており、天下統一に邪魔な存在となる劉備を攻め取ろうとしますが、劉備軍は痛手を負いながらも夏口へ逃げ延び、呉の孫権と同盟を結び、曹操と戦います。その戦いの場所となる地名から「赤壁の戦い」と言われていますね。
映画は赤壁の戦いの少し前、長坂(ちょうはん)の戦いから始まります。
劣勢な中、曹操に追われる劉備軍。劉備(玄徳)夫人とその子供・阿斗(あと)が敵に囲まれ絶対絶命!という所に劉備軍の五虎将軍の一人・趙雲(ちょううん)が単騎で乗り込み、敵をバッサバッサなぎ倒して救出に向かいます。子供を抱きながら馬に乗り果敢に戦いぬけて行く趙雲、滅茶苦茶カッコいいです。趙雲役のフー・ジュン、程良い塩顔が誠実な趙雲をよく表していて、いちいちホレボレします。この映画では趙雲と周瑜の友情も描かれていて、趙雲の見どころも多いです。
難を逃れた劉備軍は、呉の孫権と同盟を結び曹操軍と戦うことになりますが、同盟を結ぶまでの若き君主・孫権の苦悩や、それを支える司令官・周瑜(しゅうゆ)やその部下たち孫権軍、周瑜とその妻・小喬(しょうきょう)の人間関係が前半の主なパートになります。赤壁の戦いを迎えるまでがⅠ、赤壁の戦いがⅡとなっています。
映画は、赤壁の戦いを終えるまでの周瑜目線を主に、多くは孫権と劉備の合併軍側の視点から描かれていますので、戦いに勝利するまでを見てスカッと終わる感じです。
(とにかく周瑜と孔明が活躍、孔明・趙雲を覗く劉備軍はサブキャラ扱いなので、劉備好きの人にはちょっと寂しいかも知れません)
その魅力的なキャスト
■ その魅力的なキャスト
その魅力的なキャスト
物語の主軸となる周瑜をトニー・レオン、諸葛孔明を金城武が演じています。
この映画では女性の活躍も多いですが、小喬はリン・チーリン、孫尚香(しょうこう)はヴィッキー・チャオです。
他俳優陣も見ると納得するような人ばかりですが、豪傑な張飛と人の好さがにじみ出る魯粛は特にイメージ通りでした!
実はキャストは二転三転したらしく、当初は周瑜をチョウ・ユンファ、孔明をトニー・レオンが演じる予定だったとか、曹操役として渡辺謙に声がかかったとかいう話もあるそうです。チョウ・ユンファは「王妃の紋章」での冷徹で最強な国王のイメージが強いのですが、チョウ・ユンファの周瑜、観たかったです。
(チョウ・ユンファは「曹操暗殺三国志外伝」では曹操役として主演しているのでこちらもチェックしたいですね。)
オリジナルキャラ
■ オリジナルキャラ
オリジナルキャラ
・甘興(かんこう)
中村獅童が演じた甘興は、もとは甘寧(かんねい)であったのが史実と異なる出番が増えたため、甘興というオリジナルキャラクターとなったそうです。
寡黙ながらも血気盛んな猛将といった感じで、赤壁の戦いでは命をかけて敵に攻めこみ大きな打撃を与えます。
中村獅童の目力と独特の雰囲気がとても良い味で好演してましたね。
・孫尚香(そんしょうこう)
呉の君主・孫権の妹である尚香は、三国志では赤壁の戦いの後に劉備の妻となりますが、この映画では政略結婚を嫌い、戦いに参加し、大きく貢献します。
小喬と尚香の活躍が目立つこの映画、女性を戦争や政治の道具として利用するのでなく、それぞれが意志を強く持って自分の人生を選択して欲しいという現代に通しての監督のメッセージが込められているそうです。
この尚香はおそらく16、17くらいだと思うのですが、「女だからってみくびらないで!」と周瑜達の後を追いかけて砦に乗り込んだり、先陣きって敵将に矢を打ち込んだり、はては単身で敵陣にスパイとして忍び込みます。
フツーに無理だろとか、そんなかわゆい小綺麗な雑兵なんぞおらんだろとか思いたくなりそうになりますが、細かいことを突っ込んでは話は進みませんね。
女だからと抑圧されていた才能を孔明によって見出され、尚香は戦いの中で水を得た魚のように活躍します。
女たちたくまし過ぎるよ!
■ 女たちたくまし過ぎるよ!
女たちたくまし過ぎるよ!
前述の尚香もですが、小矯もこの映画の中で大いに活躍します。
と言いますか、「レッドクリフ」では戦いのきっかけが小喬であったとされています。
劉備軍の追撃ももちろんですが、曹操は昔から恋い焦がれていた小喬を自分のものにする気持ちもあって戦いに臨みます。
それを知った小喬は、「民のためにこの戦いをやめてください」と曹操に直談判するため、これまた単身で敵陣へ乗り込むのです、身重の体で…。
身重の体で?!
映画序盤から小喬の色香を匂わせるようなシーン満載なんですが、中盤で身重と知るとそれまでの艶めかしさが意味を持ちすぎてもう、正直私はお腹一杯になってしまう所もあったのですが、彼女の存在で大いなる愛や母の強さなんかも作品に表されているのでしょうね。
「三月(みつき)になります…」とか置手紙残して敵陣に小舟で向かい、途中で曹操の部下に命を狙われたり、高いところから飛び降りたり、「いやいや三ヶ月って一番大事な時じゃん」と同じ女としては思わずにいられないのですが、まあ、細かいことを突っ込んでは話は進みませんね。
私がこの小喬だったら多分5回ぐらい死んでますが、美と知性と運を兼ね備えた小喬は困難を切り抜けるのです!(あまりに常人離れしたシーンでは「ハハッ、スゲーな」と笑い飛ばすのもこの映画を楽しむコツかも知れません)
あ、あとですね、この時代のお茶は高級品だそうですが、小喬の淹れるお茶はとにかく美味しそうです。このあたりも文化に興味を持つきっかけになりますよね!
えっ、ラストシーンないの?!
■ えっ、ラストシーンないの?!
えっ、ラストシーンないの?!
大きく残念な所。三国志では、私がとても好きなシーン、赤壁の戦いに大敗し、敗走を重ねる曹操を華容山で関羽が待ち伏せるも、昔の恩義を感じ見逃してやる…という名場面があるのですが、それがありません。
映画は赤壁の戦いで曹操を追い詰め、取り囲み、降伏させるところがクライマックスなので、
そこに主要キャラ大集合で大団円という終わり方をしています。その後のことは描かれてはいないのですが、曹操を追い詰めるその場に関羽ももちろんいるので、華容山でのシーンは自然と無いことになります。
そのシーンがどう描かれるのか楽しみにワクワク見ていた私としてはかなりの肩透かしでした。
曹操を降伏させるところで映画の一区切りとするためにこちらもそのように脚色されたのでしょうね。
とりあえず、観てみましょう♪
■ とりあえず、観てみましょう♪
とりあえず、観てみましょう♪
ということで、史実とはもちろん、三国志演義もあくまでモチーフとされているというもので、オリジナル要素が強い「レッドクリフ」ですが、CGとワイヤーアクションも駆使されて合戦のシーンの迫力はとにかく素晴らしいです(製作費100億円、ジョン・ウーの私財10億円まで投じたそうですね)。
いちいち「ここが違う、あそこも違う」と目くじら立てずに楽しく鑑賞し、そこから改めて史実であったり人物像を掘り下げてみると、ジョン・ウーがなぜ脚色を加えたのかも併せてなお楽しめると思います。