日本のいまに繋がっている?三国志時代の役職とそのはたらき

日本のいまに繋がっている?三国志時代の役職とそのはたらき

三国志を見ると三公(さんこう)、九卿(きゅうけい)という言葉はよく聞きますが、いまいちどういう任務をつかさどっているか分からないということが多いことでしょう。ここでは簡単にどの役職がどんな働きをするかということを簡単に紹介します。特に文官の働きについて少しでも分かってもらえたら幸いです!


大将軍

大将軍

大将軍

大将軍というと完璧に力がある武官というイメージが強いのですが、実はそうではありません。
元々は皇帝のために戦う最高武官職という意味合いが強かったのですが、後漢中期以降では最高行政官である尚書令(しょうしょれい)の役職を兼任することが多くなりました。
そのため武だけでなく文も優れている人物が多くなる傾向にありました。前漢時代は三公の下に置かれていましたが、外戚政治まで行っており、三国志の時代になると三公以上に権力がある人物がこの役につくようになりました。
三国志やキングダムで有名どころの武将はこの役職に就くことが多く、まさに男子の憧れの役職ではないでしょうか。

将軍

将軍

将軍

将軍と言っても実はいろいろあります。三公並みの格がある衛将軍(えいしょうぐん)、驃騎将軍(ひょうきしょうぐん)、車騎将軍(しゃきしょうぐん)の他に九卿並みの格がある、前将軍、後将軍、左将軍、右将軍がいます。
さらに臨時の将軍職として白馬将軍、威北将軍なんていう役職ができたりもしました。大将軍と比べると武に偏ったイメージがありますが、戦闘に関しての知恵はやはり経験もある為文官以上の物を発揮するのが将軍です。
やはり強い者というイメージがあるのは将軍の方でしょう。また将軍の格が上がったら大将軍になるという印象ですが、上記で挙げた大将軍から見て分かるように若干働き方も異なります。ちょっと違うかもしれませんが、将軍がエースで大将軍がキャプテン。
まずはそんな風に漠然と思ってもらえたらいいかもしれません。

三公

三公

三公

先ほどから三公という言葉をよく出しましたが、司徒(しと)、司空(しくう)、司馬(しば)をまとめたものです。三公と言っても司徒が上にあるとイメージしてください。
司徒は天子を補佐して政治を司る者で、丞相(じょうしょう)と言われていました。今風に言うと内閣総理大臣です。司空は土木建築などを担当する役職で、今でいう副総理兼国交大臣的なイメージというと分かりやすいでしょうか。
司馬は軍事を司る役職です。防衛大臣がこの職に当たると言っていいでしょう。太尉というのも個のポジションのことです。言ってみれば司徒=丞相が国のNO.2という訳ですが、仕事内容は丞相と変わらないのですが、宮中内での処遇が破格の相国(しょうごく)というポジションもありました。
ちょっと違うかもしれませんが横綱と大横綱のような感じと捉えてもらっていいと思います!

九卿

九卿

九卿

九卿という役職を説明するととんでもない量になってしまいますが、分かりやすくいってしまえば大臣です。司徒が内閣総理大臣だとすると各大臣がこれに当たります。
そしてさらに枝分かれして言って様々な役職名があるのですが、これは学べば学ぶほど現在に通じるものがあるなというのが実感させられます。
つまり今の日本の内閣も三国志の時代の官職もさほど変わらないということです。
もちろん沖縄北方担当大臣なんていう職はありませんが、中核はほとんど一緒です。この時代の中国は皇帝ありきという考えなのに対し、現在の日本は国民ありきという考え方の違いはあるものの、1800年前からほぼこのような役職があったと思うとぞっとしませんか?

ちょっと面白い役職―太卜令(たいぼくれい)

ちょっと面白い役職―太卜令(たいぼくれい)

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上記の九卿の一つが太常(たいじょう)です。この役職は九卿の筆頭と言われていて最も重要視されていました。この太常は主に祭祀などを司る役職です。音楽を司る太楽令(たいらくれい)、祝詞を司る太祝令(たいしゅくれい)学問を司る博士などがあります。そして現代ではあこういうのも役職にあるのかというのがあります。それが占いを司る太卜令です。
当時は今ほど科学の発達がなされていなかったので占いというのを重んじていたわけですが、役職、それも現在で言う事務次官級の役職があったわけです。過去にどんな人物が太卜令という役職に就いたかは分かりませんし、どのような成果を上げていたかも定かではありません。もし占いを外そうものなら首を斬られていたのか?と思うとちょっと興味が沸いてしまう役職です。
劉備(玄徳)や劉表(景升)が君主の場合であればいいかもしれませんが、曹操(孟徳)や董卓(仲頴)に仕えてしまったら占いは絶対外せないと思ってしまうのは私だけでしょうか?

宦官(かんがん)

宦官(かんがん)

宦官(かんがん)

三国志に限らず中国の歴史を学ぶと必ずと言っていいほど直面する、今では考えられない役職があります。それが宦官です。宦官とは去勢された男性にのみ与えられる役職です。なぜ宦官が存在したかというと宮殿の一番奥には後宮というハーレムがありました。(言ってみれば皇帝の夜の相手をする女性)皇帝にもよりますが、その数はなんと2000人ほどと言われています。
そんな大人数の世話をするのに女だけでは賄いきれなかったので、男を入れる必要がありました。しかしそこで懸念したのが男を働かせたらどさくさに紛れてその男の子供が次の皇帝になってしまうということでした。皇帝以外の子種を残されないよう警戒したため去勢する必要があったとされます。
これが後宮を運営するのに宦官は必要だったとされた理由です。
ちなみに当時の医療は現在ほど発展していなかったため、去勢した後3割程度がそこから雑菌などが入り死亡したといわれています。
宦官になるのも命がけだったという訳です。しかし、この宦官は後宮に入ることができたため贅沢ができる可能性が大でした。そのため貧しい男たちの「宦官志願者」は相当なものでした。

まとめ

まとめ

まとめ

三国志の時代の役職について紹介しましたが、「思ったより現代と似たような役職分けをしているな?」と思った人が少なくなかったのではないでしょうか。
その反面皇帝が絶対的な時代だったため、皇帝のための役職分けという感も否めないといったところだと思います。
三国志というと猛将や軍師などに脚光が当てられ、常に戦っているイメージですが、裏ではしっかり内政も整えられたということが分かります。
また、現在では考えられない宦官などもあり、この時代を生き抜くのはなかなか大変だったと思わされずにはいられません。
「自分だったらこんな将軍になりたい」と思う人は多いでしょうけど、ここでは「自分だったらこんな役職に就きたい」と思っていただけたらこれ以上嬉しいことはありません!


この記事の三国志ライター

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